リクエスト 2

□最強無敵な彼  R15?
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「あの澄んだ清らかな瞳を見てると、手を出しちゃダメだ!って思っちゃうんだよねぇ」
「だからってなんで俺が話し聞かなきゃなんねぇんですかィ」

大きく溜息を付きながらイチゴミルクを啜る銀特に、沖田はこめかみに青筋を浮かべていた。
相談があるから、とでにーず大江戸店に呼び出されてきてみると、これだ。
なんでこんなホモのバカップルの半分(ほとんど大半)惚気な悩み事を聞かされなければならないのか。
沖田の方が溜息を付きたいぐらいだった。

「アンタ、土方さんに幻想持ちすぎでさァ。あの人だって男なんだから1人でヌくことだってあるだろうし、女だって抱いてやしたぜ」
「えぇ?!浮気ィィィィィ?!」

顔色を変え、立ち上がる銀時に沖田は呆れながらその腕をむずっと掴んで、椅子に戻す。
他の客の視線が痛い・・・。

「落ち着きなせぃ。真選組がまだ結成される前の話でさぁ。あの人はあれでも遊郭ではちょいと名の知れた遊び人だったんですぜ」

銀時の頭にハンマーが振り下ろされる音が聞こえる。
知られざる土方の過去に、銀時の魂は離脱寸前だった。
あまりにも分かりやすい反応に沖田は肩を竦めてみせる。

「でも安心さなせぃ。今までで恋人と呼べるお人は旦那だけでさぁ。もちろん男はお初のはずですぜ」

もうほとんど銀時は涙目だ。
珍しく仏心を出した沖田は、アドバイスした。

「もう、とっとと犯っちまいなせぃ」
「お、沖田君」

余りに明け透けなその意見に銀時の方が、らしくもなく狼狽えた。それに沖田はハンと鼻を鳴らす。
その目も少し小馬鹿にしているようだった。

「言い方をどう変えようが、アンタは土方さんを抱きたいだろぃ。男なら四の五言ってねぇで犯っちまいな。
あの人だって恋人として付き合ってんだ。それぐらいの覚悟はできてんだろィ」
「そ、そうかな?」
「そうでさぁ。案外待ってんじゃねぇんですかィ?」

沖田の意見に、銀時は唸りながら検討を始める。
待っている、のだろうか?
じゃぁ、昨日のあれはもしかしてお誘いだった?
思わず身悶える銀時だ。

「そ、そうか。付き合ってるんだから覚悟ぐらいしてるよね」
「もししてねぇなら、士道不覚悟で切腹させなせィ」
「イヤイヤ、切腹はダメだから。そんなことしたら、銀さんまで死んじゃうから」

土方がいないと一秒だって生きてはいけない、などと真顔で言うと、沖田は顔を引き攣らせこめかみの青筋を増やしたまま無言で立ち上がり、出て行ってしまう。
第一これは士道とは関係ない、という突っ込みはなされなかった。
銀時は何故沖田が怒ったのか、わけも分からず首を捻りながら、残ったイチゴミルクを飲み干す。

 じゃ、新しく出来たあそこにでも、連れ込もう

もう脳内は目くるめくバラ色の世界が駆け巡り、周りがドン引きするほど顔を崩す銀時だ。
しかし、彼は気付いていなかった。
土方がちっとも、全く、これっぽっちも、覚悟なんざしていない事など・・・。




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