リクエスト 2

□眠りの森な彼
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先日ホテルに行ってから、僅かだが土方は銀時に警戒している。
それは、いつだって土方のことだけを見ている銀時でないと分からないほどのものだったが、銀時が彼に触ろうとした瞬間、ビクリと体を震わせるのだ。
本当にそれは微々たるもので、条件反射のようだから本人もそのことには気づいていない。
きっとあの時、ホテルに連れて行って無理矢理に事を運ぼうとした時の恐怖が、体から抜け切っていないのだろう。
分かっている。悪いのは自分だ。
勝手に彼の気持ちを推し量って、無理にあんな事しようとした自分が悪いのは分かっている。
しかし、銀時は本当に土方が好きなのだ。
好きで好きで堪らなくて、本当ならもうどこにも行かせたくない。
自分の腕の中にだけ閉じ込めて、傷付かないように護ってやりたい。
あの綺麗な瞳が誰かを見るなんて許せなかった。
他の誰かに笑い掛けてなんて欲しくない。
俺だけを見て。俺だけに微笑みかけて。俺以外とは誰とも喋らないで・・・。
どうしようもない独占欲が沸いて出て、銀時は苦しくなる。
しかしこんなに銀時は彼のことが好きなのに、きっと彼は銀時ほどは想ってくれていない。
彼は銀時のことを好きだと言ってくれたが、それはちゃんと他人への好きとは違う好きなのだろうか?
例えば、近藤や沖田や他の隊士たちへ向ける好きとは・・・。
この想いは恐らく一方通行なのだ。
銀時は彼の全てが欲しいのに、彼はそれを求めてくれない。

 こんな事なら、まだ片想いのほうがよかったかも・・・?

ヘタに自分のだ、と思っているから、全てが手に入らない事がもどかしい。
求めらもらえないことがこんなにも哀しい。

 好きなんだよ、愛してるんだよ、もうお前以外は何もいらないのに・・・

でもお前にとって俺は、単なるケーキ製造マシーンなんだろう?
そう思うと銀時はヘコんだ。

 好かれてはいる。でも、愛されてはいない。

彼は分かっていないかもしれないが、きっとそうだ。
それが銀時が、出した答えだった。
だからその日、かなり煮詰まっていたのだ。それはただの言い訳にしかならないが・・・。




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