short


□ただ、狂おしいほど
1ページ/2ページ



この歪な愛は、貴方を殺めるまで止まらないだろう
愛してる
愛してる
狂おしいほど愛しい貴方を、自らの手で、手折りたい


その時は
いつ訪れるのか

「アーカード」

黒い棺を開け、棺の中にいる黒髪の少女の名前を呼ぶ

「アーカード」

返事は無い
棺の中では、眩暈を覚えるほどの赤と黒がせめぎ合っていた

「アーカード」

無意識に、執事が棺の中へと手を伸ばした

それと同時、暗闇から幾つもの瞳が執事を見つめる

執事の腕に、無数の百足が巻き付く
其れでも構わず、執事は更に棺の奥へ奥へと腕を伸ばす

使い魔に侵入者と見なされた執事の腕は、百足によって締め付けられ、赤い血が滲み始めた

片腕では短すぎる、遂には両手を伸ばして身を乗り出し棺の中を弄る

百足達を掻き分けると、暗闇の先に白い肌を見つけ出した

其れは陶器のようで、棺の黒や赤に良く映えていた
そのまま腕を奥に進ませる

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ