主文 振り

□君の残像に
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「阿部ってさ、つくづく三橋の女房だよなー」

ある日の放課後。
部活が終わり、皆汗だくの体に張り付いた練習着を剥ぎ取っていた時だった。
泉が急に言葉を発したのだ。
「あー!俺もそー思う!!」
田島は勢いよく泉に飛び乗った。
「うわっ!いてぇよ、田島!」
「うーん、そーだよね。阿部って、何かと三橋に言ってるの見るし」
栄口が我先にと言うように割り込んできた。
他のメンバーも興味津々のように、話に耳を傾けている。
「はぁ!?俺は別にそんなんじゃねーよ」
俺はいきなりの台詞にびびった。
意識をしてなかった分、変な気分になってしまった。俺が三橋をかまってる…?どーしたらそういう風に見えるんだ?
「じゃ今のはどーいうつもりなんだ?」
泉は俺を少し睨むように見て言った。
今のというのは、三橋の着替えがトロいのを見かねた俺が、三橋のタオルなんかをたたんでいたことだ。
俺はそれを当たり前のように行っていた。つもりだ。
「阿部は三橋に過保護すぎだ」
キャプテン花井も参加してきた。
おい、キャプテンまでもが俺を否するのか?!
「……まぁ…三橋を考えると、俺もそーなるけど」

ありがたいような、ありがたくないような台詞だった。
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