主文 振り

□甘味なり
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「あ、…ぁ阿部く、んを…呼んで……さぃ」

ざわつく教室。
他愛もない会話や、校庭から聞こえる雑音。今はまだ3時限目の休み時間。
俺は自分の机に伏せて、花井や水谷の会話をぼーと、聞いていた。
水谷のクソレな話(アイドル)は興味無かったが、花井の野球の話には興味があった。
「んで、昔の監督がよ俺に」「阿部〜っ!!」

花井は肩を尖らせ、水谷は目をまるくさせ、当の俺は心臓が止まるかと思った。「な、何だ?!」
花井はきょろきょろしている。
「阿部〜呼んでんぞー」
クラスメートの……名前、知らん。
とにかくクラスメートが俺を指名した。
「あー、わーった。今行く」
出かい声出すなよ、なんて俺は思いながらドアの方へ近付いた。
ドアを勢いよく開けたが、そこには誰一人いなかった。
「あ?……イタズラか?」俺は一瞬、イラっとしたが、まぁ別にいいや、なんて思い席に戻ろうとした瞬間。
「あああ、阿部君!ぁ…う」

そこには三橋がいた。
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