LIAR
□#01
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───午前二時。
草木も眠る丑三つ時である。
ただこの町は例外だそうで、草木は眠れどこの町の人々は眠らないらしい。あちらこちらにネオンの灯りがともり、多種多様な店が活気に溢れている。まあ、どこの店もあまり教育上“良い”とは言い辛い店ばかりではあったが。
ここは、歌舞伎町。
無法者が集い、微妙な均衡を持ってして保たれているこの街を、肩を並べて歩く二人の男が居た。片方は、栗色の髪にベビーフェイス。もう片方は、黒髪に鋭い目付きの男である。
彼らは帯刀こそしているが着ているのは黒い役人の制服。それも、“チンピラ”警察こと真選組のものである。ある意味、荒くれ者の町にはピッタリかもしれない。ただ、この二人少し様子が変だ。キョロキョロしながら、何かを探りながら歩いているようなのだ。
「見つかりやせんねェ。」
流石の何もなさに、耐えられなかったのだろう。栗色の髪の男が黒髪の男に話しかける。
「チッ。なんつっても、ピンクの髪してるってーんだ。時期に見つかるだろうよ。」
少し苛立っているらしい男は、胸ポケットから煙草を取り出し口に咥え火をつけると深く息を吐き、もう一度舌打ちをした。
「ところで、なんでこんな時間に見回りなんざしなきゃなんねーんですかィ?」
「だからこの前会議で説明しただろうが。」
こんな時間の見回り、会議まで開かれたと言うのなら結構な事件が起きたらしい。きっと、必死に犯人を捜しているのだろう。重要視されているに違いない。
「いや、その時寝てて聞いてなかったから今聞いてるんじゃねーですか。」
「何堂々とサボり告白してんのォォォ!」
語弊があった。思いの外、重要ではなさそうだ。
chapter #01
人の第一印象は髪型で決まる