LIAR
□#03
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スパァン
いきなりすさまじい勢いで開けられた局長室の扉。そんな開け方をするのは、ただ一人だろう。
「近藤さん。これはどういうことだ!」
そう、土方だ。
まぁ、そんな彼が開けた扉の向こうにはなかなかの光景。
「山崎さんアンタ、お茶淹れんの上手いなぁ。」
「いえ、数少ない取り柄です。」
「そうなん?優秀な監察って聞いとったんやけど?」
「ガハハハ、良かったなザキ!
お上にまで評判が行ってるなんてな。」
和やかに談笑する三人。
「お前等何やってんのォォォ!?」
「やっと起きたか。いや、世間話?」
「いや、なんでハテナ?」
がっつり出端を挫かれた。
ハァ、と盛大なため息をつきもう一度話し始める。
「──で、俺が聞きてェのは…」
「なんでアタシが、ここに居んのか?やろ?」
「…そ、そうだ。」
「言うたやろ、人事異動。ってか、左遷って所やな。」
驚きの真実。前の部署から飛ばされたと言うのだ。ホレ、とその証拠と言わんばかりに辞令を紗良は懐から取り出し広げてみせた。紙の最後には警視庁長官松平片栗粉の署名と捺印が。
「左遷ってお前、今まで何処に?」
マジマジと髪を見た後、更に聞く土方。
「え?護衛班に居ったけど、護衛対象に怪我させてなぁ。」
「お前、護衛班ってエリートじゃねーか。」
「まぁ?」
キョトンとしている紗良。
「あぁ、そういえば手土産は喜んでもらえた?」
「なんのことだよ」
「浪士達。置いといたやろ?」
しれっと言っているが、かなり恐ろしいことを口走っている。
………………
………………
………………
「「ハァァァ!?」」
「じゃあ昨日の晩も?」
こくりとうなずく。
「お前ェェェ!?」
少し申し訳無さそうに俯きながら話す紗良。
「てへぺろ。」
……いや、申し訳ないとは微塵も思ってないらしい。
「髪の色違ったじゃねーか。」
「あれは、鬘。」
ほら、などと言った彼女の髪はいつの間にやら桜色に。
「ほら!軽いドッキリみたいな?」
「みたいな?じゃねえ!」
「いーやんそのお陰で検挙できた浪士もおったやろ?」
「そうだぞ、トシ!そもそも言い出したのは俺だしな!」
ガハハと豪快に笑い飛ばされてしまえばもう何も言えまい。土方は釈然としなかったがここでそれ以上の言及は諦めた。
chapter #03
事ある毎にはしゃぐ奴にはグーパンチ