LIAR
□#05
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タッタッタと軽快な足音で、去っていった白髪の男を追う。方向はこっちで間違いないはず。すぐに見えてきた白髪天然パーマ。特徴的な髪はやはりこういう時役立つ。
「ちょっとお兄さん!」
トントンと肩を叩き振り向かせる。と、同時に白衣のポケットから警察手帳を取り出す。
「先ほどはウチの上司が失礼しました。ワタクシ、真選組の嘱託医松南紗良言います。」
あなたのその怪我の治療を仰せつかって参りました。と少し頭を下げる。
「へェ。立派になったじゃねーか、鼠。」
「昔は1回もその名前で呼ばんかったのに。嫌味な男はモテへんで。白夜叉殿?」
鼠。紗良のことを男はそう呼んだ。そのお返しなのかはわからないが紗良もまた男を白夜叉と呼んだ。
どうやらこの2人既に知り合いらしい。
「てか、覚えてんのな。浅い付き合いやのに。」
「そこは覚えててくれてありがとう♡くらい言えねーの?可愛くねェな。」
「アンタに可愛げ使う意味ない。そんなことよりその傷!ちょっと見して!」
「あ?こんくらいなんともねーよ。」
「アホか!でも思ったより浅いな。軽く処置するわ。アンタ家どこ?」
「あー。かぶき町。」
男――坂田銀時はそう紗良に告げた。
chapter #05
最近知り合った人より昔知り合った奴のことの方が覚えてたりする