書物宮
□凍える掌
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怒りに震え、お前の首を絞めた手が
未だに冷たい
愛しくて、ただ恋しくて
お前の温もりが恋しくて堪らない
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「ミロはまだ出てこないのか」
天蠍宮の前で腕を組みため息をつく
「アイオリア…仕方ないですよ」
ムゥの言葉に頷く、
冥王ハーデスとの戦いに一度は命を落とした黄金聖闘士だったが、アテナの力で再び命を授かり、こうして聖域に戻ってきた
約一名を除いて…
「…しかし…まだ戻らないのか?」
ムゥは目を閉じて頷く。
「シャカと私で試みたのですが…どうしても見つからないのです」
他の仲間は聖衣の下に無事帰還し、各々の宮を守護している
「…アテナにも…こればかりは分からないと、…一体彼は何処へ行ってしまったのでしょう…」
アイオリアは扉を見つめ、頭を乱暴にかきながら、再び溜め息をつく
「…駄目ですよ?乱暴にしては」
ムゥが顔を覗き込んでくる。
アイオリアは苦笑し
「…心配するな、友にそんな事はしない…アイツの気持ち…分からんでもないからな」
もしも、自分がそうだったら、耐えきれないだろう
ムゥは微笑む
「…信頼していますよ。」