書物宮
□岐路
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「とにかく…今は退いて貰いたい。」
淡々と冷たく言い放つシャカを見上げる
いつも閉じられている瞳が開かれ、自分を見下ろしている
「…教えてくれ…ムゥに何があった…」
微かに聞こえるため息
「…教皇…サガに身を差し出せと…言われた…しかし…それは君の事だと言われ、ムゥはそれに逆らい罰を受けた」
「?!」
「…しかし…それも理由が曖昧だ。納得がいかないと理由を求め、君の代わりに謝罪を申し出た結果…アイオリア…話も聞かずにどこへ行く?」
立ち上がり走り去ろうとする背中を引き止める。
「…ムゥの好意を無にする気か」
「違う!!」
「…ムゥは死を覚悟して君を守ったと言うのに…君は教皇に自ら会い…何をするつもりだ」
アイオリアは歯ぎしりをする
護りたい者を護るどころか、危険な目に遭わせてしまった
「…ならばシャカ…俺は…どうすればいいんだ…」
シャカは何も応えずに背中を向ける
「…今は獅子宮を護る事だけ…考えなさい…ムゥが回復したら知らせます」
ゆっくりと姿を消す
アイオリアはそれを見つめ、拳を石の床に打ちつけた