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□歴研部のあの子
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歴研部のあの子、…って何だ、と思った人も多いかと思う。

そういう訳で、まず俺が解説しておく。

歴史研究部。
まあ、アレだ。とりあえず漫画研究部、略してマン研の類だ。


部員一名。
既に同好会にもなっていない。
(同好会になる条件は5名)



ただ、その唯一の部員はとても熱心な明日奈 夕葉。



「明日奈ー。はい、100点だぞ。」

『先生、プライバシーの侵害だよ。』

「いいだろう、…あーあ、先生、今回明日奈に勝てるように難しくしたのになー」

『今回も私の勝ちみたいですね。』



ちなみにあだ名は「社会科の神」

俺はテニスにおいては「神の子 幸村精市」なんだけど、


…話を戻せば、彼女の社会科のテストは毎度小テスト、定期テストに関わらず満点なのだ。







『おはよー。今日は石田光成が斬首された日だねー。』

だねー…って言われても、それに対して反応出来る人は君しか居ないと思う。

これが10月1日。




10月2日は『今日は田沼意次が失脚した日だねー』

そんな日は知っていても意味無いと思う。





10月3日、『北条氏康が死んだ日だねー』

…誰だよ。




10月4日、『第6代松江藩主・松平宗衍が死去した日ー』

…誰だよ!!!

『富岡製糸場が操業開始した日でもあるけど。』

最初からそっち言えよ。第六代の松江藩主どーでもいいよ。






毎日こんな感じだ。
教室に入る時、毎朝こうやって呼びかける彼女は、文化部とは思えないくらい明るくみんなに好かれる性格をしている。


シラけた目で見るわけでもなく、周りは先ほどの俺のような反応を示している。
(俺は聞いて、心の中で反応しているだけだが…。)




ただ、一度不思議に思ったことがあった。


それは、新しいクラスになって、「何だコイツ…」が慣れに変わった頃のこと。

5月30日。
彼女はいつものように、『今日は○○の日だよー』と言わなかったのだ。

最初は可笑しなヤツだと思っていたはずなのに、それが無いと不思議で…どこか寂しくも感じた。



気になった俺は、ネットで何の日なのかを調べてみた。それが11月のこと。

何となく、彼女のことが気になっている自分の気持ちを認め始めた頃だった。



精)「……これ、かな。」


‘沖田総司の命日’

確か、この間のテストで幕末が出てないと文句を言っていた気がする。






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