四天宝寺
□協力者
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『白石、好きな子居るん?!』
お前や、お前。
と思いながら、目の前で驚きを隠せずに居る彼女の表情を見ている。
それは不意の出来事やった。
小春に恋愛相談中。(一番乙女心分かるやろ!!←)
その話を一部、好きな相手に聞かれたらしく、現在に至る。
愛しい彼女は目を開き、今にも『誰?』と聞きたそうやった。
ただ、興味本位だけでそんなん聞いたらアカンと思ったんか、彼女は一瞬目を泳がせてから、笑顔を見せる。
『白石、協力するで!!何かあたしに出来ることあったら言うてや!!』
もし、君が俺に『誰なん?』と聞いてくれたなら、「お前」と言えただろうか。
そんな事を思いつつ、「ありがとう」と答えた。
彼女は嬉しそうな表情をする。
その間逆に、俺は傷つく。
お前は俺に好きなヤツ居っても何とも無いんやな。
『…どんな子か、だけでも聞いてええ?』
どうしても、聞きたかったらしい。
少しは興味持ってくれとるっちゅー事なんやろうか…
と思いながら、目の前の女の特徴を挙げた。
蔵)「明るい子やな。笑顔がめっちゃ可愛いねん。あとは、ちょっと頭は悪いな。
勉強はそこそこなんやけど…なんちゅーか、鈍感なんや。俺がこんだけアピール
しとるっちゅーに、全然気づいてくれへん。でも、誰よりも可愛いんやで、ホンマに。」
『へえ…その子、KYなんやな。』
お前や、お前。(2回目)
『…でも、白石、その子のことめっちゃ好きなんやな!!』
その優しい笑顔に、何か胸キュンしたわ。
本人に伝えてんねんもんな…何か恥ずかしゅうなってきた…//
『白石顔赤いで。』と悪戯っぽい笑いさえも可愛くて愛おしい。
友達、なんやろーな…。
『安心しい!!うちが全力で協力する!!大船…、いや、タイタニックに乗ったつもりで居ればええ!!』
それだけ言うと、もうすぐ昼休みが終わると、彼女は自分の席に戻っていく。
同じ教室なのに、この距離さえも遠くてもどかしい。
謙)「タイタニックって…沈むやん。」
そこを偶然通りすがった謙也がツッコミよった。
「どしたん?」と謙也に言われて、俺は事情を話す。
蔵)「俺に好きな子居るんがバレてん。」
謙)「はぁ?!」
謙也は驚いて、「じゃあ、告白したん?」と言うが…俺はかぶりを振る。
謙)「せやんなー…さっきの反応的に、そんな感じでは無かったなぁ、」
蔵)「やろ?」
謙)「自分やっちゅーねん…。鈍感やわぁ、」
蔵)「鈍感やなぁ……、…でも、そんな所も可愛くて好きなんやけどな。」
謙也は「そんな恥ずかしいことよお言うわ」とか言いながら去っていった。
俺は、教室の窓際の後ろから2番目の席から、前方の彼女の姿を見つめる。
次、数学かぁと思いながら、授業道具準備するのも忘れて彼女を見ていたかった。
放課後の部活前、謙也に「素直に気持ち伝えればええやん」と言った。
蔵)「…でもなぁ、俺の恋応援するっちゅーことは見込みなしやろ??」
謙)「ふーん……よし、そういう事なら任しとき!!白石はタイタニック乗っとけばええ。」
蔵)「俺、死ぬやん。」
謙)「…うっさいわボケ、大船かて沈む時は沈むんじゃ!!」
蔵)「何でそうなんねん!!俺は安心したらアカンっちゅーことか!!」
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