LongStory

□全国大会編
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『比呂士、どっか行くの??』

比)「まあ、少し…。」

『……、いってらっしゃい。』






8月17日、私達の全国大会が始まった。夏も終わりに近付く、残暑。
それでも日差しは厳しく、今日も暑い。


私達、立海大付属はシード校という事で、2回戦から始まる。

それは関東大会優勝の青学も同じく。
今日は、両方の2回戦が隣の会場で行われている。







比呂士が向かったのは、恐らく青学の海堂くんの所だ。


立海の対戦相手は、六里ヶ丘中。

私はきっと笑顔を保ってるはずだけど、正直かなりムカついている。
マネージャーとして、あるまじき思いであるのは重々承知であるが、
『(アイツら、完膚無きにまで倒しちゃってーーー!!!)』というのが正直な気持ちだ。





その理由はつい先日―




「でよぉ、全国二連覇中の立海大付属中が関東で負けたんだってよー。」

「マジかよー、…で、どこに負けたんだっけよー??」

「青春学園…だったかなぁ、…。」

「知らねーな、まぐれかよ。」

そう言って男達は笑った。


「そういやぁ、立海の部長、難病にかかって出られないらしーぜ。」

「ラッキー!!……いっそのこと、もっと悪化すればいいのになぁ…。」

「大体、今頃、病気すっかー??」

「ダセーよ!!!」


『──ッ!!』

私達の全国大会、最初の相手、六里ヶ丘の選手だというのはジャージで分かった。



相手の目の前に飛び出していこうとすると、

比)「夕葉さん、落ち着いてください。」

比呂士に止められた。



ただ、幸村くんを侮辱するような事言われて、黙っていられる私じゃない。


既に分かっていたはずの事だったが、いざ目の前で言われると腹立たしい。



『大丈夫、暴力沙汰にはしないよ。…勝ち目無いし』

この場面を思い出して、言いたい事言っておかないとスッキリしないと思ったから、こうやって比呂士について来たのだ。


何もしないなんて、意味が無い。


既にその前に青学の海堂くんが飛び出して来たけど、私は私で言いたいこと言わせてもらう。

海堂くんは、殴りそうな勢いで六里ヶ丘の選手の一人につかみかかっていた。
たしか、海堂くんがつっかかってる相手は…名前は忘れたが、
この後海堂くんを投げ飛ばして、「触んなバーカ、グズが」
みたいな事を言っていたはずだ。


海堂くんが怪我でもしたら大変、と思い、それを避けるために、私はベストのタイミングで前に出たつもりだ。




『アンタたち!!!!!』

3人が揃って動きを止めて、こちらを向く。


『聞いてりゃ勝手な事言ってくれやがって、…』

こんな言葉を人に使った経験は無いが、今回ばかりは非常に腹が立ったので許していただきたい。


というか、これくらい言わないと気が済まない。



比)「(暴力沙汰にしないというわりに、何で口調が喧嘩腰なんですか?!)」




『幸村くんのこと知らないでよくそこまで言ってくれたよね。』


まあ、知ってて言ったらもっと怒るけど。←


『彼だって好きで病気になった訳じゃない。
あんたらや私が、不注意でしょーも無いケガ
しただぁ、手洗いうがいせずにインフルエンザ
かかっただぁとは訳が違うんだよ!!それを、
今ごろ病気するか、なんて笑ってくれちゃって…』



『強い部長が居ない、ラッキーって喜ぶ気持ちも分かる。
でもね、もっと悪化すればいいのに、なんてもう1度言ったらタダじゃおかない。』

…多分、幸村くんの制裁でこの世に存在できなくなる。←





『世の中には、言っていいことと悪いことがあるの!!
それも区別できないなら、テニスする前に幼稚園まで帰ってやり直して来な!!』




はっきり言って、私の発言も道徳的にNGな気がするけど…


それも問題ありだろ、って言われたら、幸村くんの自意識過剰精神で←

「まぁ、俺だし??」みたいな理不尽な事言って誤魔化しておけばいいや!!☆







ああー、今思い出しても腹が立つ!!!

あれ、今バキッって音だしたんだけど。




赤)「夕葉センパイ、…鉛筆折れましたけど…。何かあったんスか??」

『ん、何でも無いよ??』

赤)「…笑ってるけど、笑えて無いです;」

『そーだ、鉛筆折れたんだ。(怒りで。)新しいの出さないとね、』

赤)「(ぜってぇ怒ってる…!!!)」



私は現在、スコアを詳しく付けている。
1球目はこちらのサービスエース、だとか…
2球目は返されて、フォアで返してポイントとか…

詳しい内容をメモして、この試合後、蓮二と一緒にデータ分析をして、
レギュラーたちの苦手なコースを改めて割り出して練習に取り入れる予定だ。

イラつきすぎて、シャーペンだと、芯がポキポキ折れるので鉛筆に変えたのに…

鉛筆自体が折れちゃったら意味無いじゃーん。あーあ、ムカつく。←










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