LongStory
□全国大会編
2ページ/5ページ
『比呂士、どっか行くの??』
比)「まあ、少し…。」
『……、いってらっしゃい。』
8月17日、私達の全国大会が始まった。夏も終わりに近付く、残暑。
それでも日差しは厳しく、今日も暑い。
私達、立海大付属はシード校という事で、2回戦から始まる。
それは関東大会優勝の青学も同じく。
今日は、両方の2回戦が隣の会場で行われている。
比呂士が向かったのは、恐らく青学の海堂くんの所だ。
立海の対戦相手は、六里ヶ丘中。
私はきっと笑顔を保ってるはずだけど、正直かなりムカついている。
マネージャーとして、あるまじき思いであるのは重々承知であるが、
『(アイツら、完膚無きにまで倒しちゃってーーー!!!)』というのが正直な気持ちだ。
その理由はつい先日―
「でよぉ、全国二連覇中の立海大付属中が関東で負けたんだってよー。」
「マジかよー、…で、どこに負けたんだっけよー??」
「青春学園…だったかなぁ、…。」
「知らねーな、まぐれかよ。」
そう言って男達は笑った。
「そういやぁ、立海の部長、難病にかかって出られないらしーぜ。」
「ラッキー!!……いっそのこと、もっと悪化すればいいのになぁ…。」
「大体、今頃、病気すっかー??」
「ダセーよ!!!」
『──ッ!!』
私達の全国大会、最初の相手、六里ヶ丘の選手だというのはジャージで分かった。
相手の目の前に飛び出していこうとすると、
比)「夕葉さん、落ち着いてください。」
比呂士に止められた。
ただ、幸村くんを侮辱するような事言われて、黙っていられる私じゃない。
既に分かっていたはずの事だったが、いざ目の前で言われると腹立たしい。
『大丈夫、暴力沙汰にはしないよ。…勝ち目無いし』
この場面を思い出して、言いたい事言っておかないとスッキリしないと思ったから、こうやって比呂士について来たのだ。
何もしないなんて、意味が無い。
既にその前に青学の海堂くんが飛び出して来たけど、私は私で言いたいこと言わせてもらう。
海堂くんは、殴りそうな勢いで六里ヶ丘の選手の一人につかみかかっていた。
たしか、海堂くんがつっかかってる相手は…名前は忘れたが、
この後海堂くんを投げ飛ばして、「触んなバーカ、グズが」
みたいな事を言っていたはずだ。
海堂くんが怪我でもしたら大変、と思い、それを避けるために、私はベストのタイミングで前に出たつもりだ。
『アンタたち!!!!!』
3人が揃って動きを止めて、こちらを向く。
『聞いてりゃ勝手な事言ってくれやがって、…』
こんな言葉を人に使った経験は無いが、今回ばかりは非常に腹が立ったので許していただきたい。
というか、これくらい言わないと気が済まない。
比)「(暴力沙汰にしないというわりに、何で口調が喧嘩腰なんですか?!)」
『幸村くんのこと知らないでよくそこまで言ってくれたよね。』
まあ、知ってて言ったらもっと怒るけど。←
『彼だって好きで病気になった訳じゃない。
あんたらや私が、不注意でしょーも無いケガ
しただぁ、手洗いうがいせずにインフルエンザ
かかっただぁとは訳が違うんだよ!!それを、
今ごろ病気するか、なんて笑ってくれちゃって…』
『強い部長が居ない、ラッキーって喜ぶ気持ちも分かる。
でもね、もっと悪化すればいいのに、なんてもう1度言ったらタダじゃおかない。』
…多分、幸村くんの制裁でこの世に存在できなくなる。←
『世の中には、言っていいことと悪いことがあるの!!
それも区別できないなら、テニスする前に幼稚園まで帰ってやり直して来な!!』
はっきり言って、私の発言も道徳的にNGな気がするけど…
それも問題ありだろ、って言われたら、幸村くんの自意識過剰精神で←
「まぁ、俺だし??」みたいな理不尽な事言って誤魔化しておけばいいや!!☆
ああー、今思い出しても腹が立つ!!!
あれ、今バキッって音だしたんだけど。
赤)「夕葉センパイ、…鉛筆折れましたけど…。何かあったんスか??」
『ん、何でも無いよ??』
赤)「…笑ってるけど、笑えて無いです;」
『そーだ、鉛筆折れたんだ。(怒りで。)新しいの出さないとね、』
赤)「(ぜってぇ怒ってる…!!!)」
私は現在、スコアを詳しく付けている。
1球目はこちらのサービスエース、だとか…
2球目は返されて、フォアで返してポイントとか…
詳しい内容をメモして、この試合後、蓮二と一緒にデータ分析をして、
レギュラーたちの苦手なコースを改めて割り出して練習に取り入れる予定だ。
イラつきすぎて、シャーペンだと、芯がポキポキ折れるので鉛筆に変えたのに…
鉛筆自体が折れちゃったら意味無いじゃーん。あーあ、ムカつく。←
・