稲妻 短
□雨音
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「なぁ名無」
「んー?」
屋上の陰で私たちはお弁当を食べていた
客数は私達以外のみ
それもそうだろう、雨だから
さぁーと降る雨を避けられる陰にピッタリくっついてお昼を食べる
「なんか、雨ってそがれるよな」
「ほ?」
デザートのイチゴを放り込みながら彼にききかえす
「やる気とかぜーんぶ、雨だからいいやって」
そういって彼は私の首に噛み付いた
「い、たっ」
そのまま傷を執拗に舐めながら彼は私の髪を撫でた
「ま、まさきどーしちゃったの」
彼はふっと息を吹き掛けてから唇をはなすと私を見つめた
「勉強する気、なくしたから、5時間目サボろうか」
一人でサボリなよ、
その声が私の口のと彼の口の中で混ざり合って消えた
まぁ、いいか。だって今日は
雨だから
雨音
(あたしもサボりたいかも、なんて)