稲妻 短

□アイロニーらぶ
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「かぐやは王子さまみたいね」
「星降くんなら、いいかな」
「かぐやとならうまくいくきがするの」
馬鹿過ぎだ
甘ったるい言葉を吐けば誰でもなびくと思っていて
ちょっとみたしてやるだけで
もう自分のだと思い込む
「さいって!」
「知らない!」
最初から最後までそんな気なかったのに
女はいつでも矛先を俺にむける
結局自分が一番可愛いんだ
俺もだけど
だから本当は好きとか愛とか
この世にはないんじゃねーかな
「かぐやくん」
でも
「かぐやくんが好きです」
今日の女は全然ちがった
まともな告白をはじめてうけた
顔を赤くして不安気にこちらを見つめる目は
いままでのやつがあまえる時ににていた。
自然現象的に作られてないその顔はじめてみたな
無理やり唇を押しあてて
そのまま長い間俺は苦しそうに目をつむったその顔を眺めていた
唇をはなして
目をまんまるにした彼女
「これで満足?」
いつもと変わらず
一言いいはなつと彼女はポロポロ涙を流しながら笑った
「ごめんなさい」
お手間取らせました
なんでこいつあやまってんだ?
女はおこることはあっても
なくことはあっても
あやまることはなかったんだ
「ねぇ」
振り向いた彼女
「どうして謝ったの」
少しだけ彼女は下を向いてから
「あなたの事が好きだから」
と言って俺の顔を見た

無性に抱きしめたくなった

(アイロニー)
(愛の知ったかぶり)

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