霧野 長

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「あれ?蘭丸くんサッカーしないの?」
スパイクを履かずに普通のランニングシューズでトレーニングルームにいた彼に私は目を丸くした。
「ああ、足わるくしちゃってさ。」
「ほえー...」

体幹トレーニングをしながら彼は私に言った
「暇になったらさ」
「ん?」
別に平気だった。
1人でも。
「洗濯物干すの手伝ってよ。量がたくさんあるのよね」
たくさんあったけどそんなにたいへんじゃなかった。
「いいよ」
なんでこんなこといったんだろう。


「名前。一区切りついたから洗濯物やろうか」
「あ、いいの?本当に大丈夫?」
いまさら、わがままというか
自分の言葉に恥ずかしくなって遠慮がちにきく
「体幹ばっかしててもしょうがないし、息抜き」
なんていい人なんだろう!

ぱたぱたと洗濯物を干しながら蘭丸くんをみる
男の子ぽい腕
私は右側
彼は左側にほす。

干す場所がなくなって
左側に移動するのにドギマギした。
彼の手がしゃがんでいる私のうえにかかる
「こうしてみると、蘭丸君さぁ」
私はいっぱくおいて言葉を変えた
「わたしのお父さんみたい。」
彼はえ?と目をまるくしてから言った。
「お父さんは洗濯なんてしないよ」
「うちのぱぱはするよーっ」
「名前と一緒に?」
なかなかするどい
「..するよ!」

洗濯物とキミ!


まるで私達新婚さんみたい
とは、冗談でも言えなかった

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