霧野 長

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「これ、もっててくれない?」
彼が私にぽいと投げたタオル
薄い水色の
まるで彼の目の色のようなタオルを私は両手でしゅっとキャッチした

ふんわりと桃の香りがする。
多分彼のうちの洗剤の香りだろう
いい香り


いつものアイシングの時だった。
「うわ!」
「なんだよ」
アイシングをする蘭丸君の隣でハンドクリームを凄い出しすぎちゃった。
「ごっめ、驚かした?ハンドクリームだしすぎちゃって」
桃のハンドクリーム。多分彼のタオルの香りを感じた時に私が
好きだな
って思ったのは愛用してるハンドクリームに似通った香りだったからと思う
「....蘭丸君に、あげる」
私はべったりのハンドクリームの手で彼の両手を握ってそのまま馴染ませた
桃のふんわりした香りと彼のユニホームから香る桃の香りが混じり合って、いい気持ち
彼の手はさっきまで動いてたにも関わらず冷たくて
その旨を伝えると
氷に触ってただろ?
と当たり前のようにかえされた。

ハンドクリームが溶け合ってから
私はハッとして手を離した

我ながらだいたんである
なにしてんだ私は

名前のハンドクリームいい香りだな
と呟いた彼になんと返したかは覚えてないけど
「お前の手あっついな」
と言われて、ばくばくが今でも収まらない


おんなじ香り



私だけドキドキしてるみたいで少し悔しかったり

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