星河一天
□第ニ訓
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雨の中、石段を上がる。
「ホワッチャァァァアッ!」
突如響いた声に、男の表情は一気に花咲いた。
「おおおッ?!神威!!」
「とーさんっ!おかえりっ!」
叫びながら飛び付いてきたのは、橙色の髪で襟足を三つ編みに結った男の子だった。
身長は、先ほどの子供と同じくらいで青い瞳をしている。
男は男の子・神威を優しく受け止める。
その後ろからは、傘を差した女性が笑いながらやってくる。
神威と同じく、橙色の三つ編みの青い瞳をしている。
「お帰りなさい、神晃。」
「江華、……具合はどうだ?」
「ええ、大丈夫。落ち着いてるわ、よく蹴ってきて痛いくらいよ。」
女性・江華はそう言いながら、愛おしそうな表情で自身の腹部を撫でた。
「……….…そうか。」
男・神晃は神威を抱き上げた。
はしゃぐ神威を包み込むように抱きしめたまま、神晃はピタリと止まった。
「……….…どうかした?」
江華の声に、ゆっくりと神威を解放した神晃は「いや、」と呟き首を振った。
「さぁ、外は雨で体が冷える…ウチに帰ろうか。」
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