鏡花水月

□第三訓
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第三訓

「結局、大事なのは結果だと思う。」






ズゥンと爆音と共に紫音達は建物内に突入した。


「クソッ!もう来やがった!!」


「春雨だァ!春雨が来たぞ!!」


戦艦を見た者が報告したのか、天人達は武器を手に待ち伏せていた。


異常を知らせるサイレンが大音量で鳴り響く。


「ってコイツ等まさか第七師団?!」


「チッ!俺等を本気でトリに来たってことか…!!」


「関係ねェ!!殺っちまえええ!!!!」



『弱い奴に限ってよく吠えるってね、地獄…見せてやるよ。』


紫音は傘をホルダーに戻すとドッと地を蹴った。

それに続き周瑜たちも次々と天人に向かっていく。


その場は一瞬にして血の海へと化した。




「あぎゃぁああ!!………くそォ……」


ドサリと音を立てて倒れる天人。


紫音は向かってくる天人達の頭を狙って手足を繰り出す。


ブシュッと噴水の様に吹き出す体液を顔に浴びながら紫音は前を見据えた。


その鋭い双眸から発せられる威圧感は本能的に天人達の判断能力を狂わせる。


「ぐっ、……ひ、怯むな!!」


振り下ろされた刀を紫音は右手で掴んで止めた。

握った箇所からはポタポタと血が滴る。


『最初の踏み込みが甘い。迷った結果がコレだ。』


両手で天人は精一杯力を込めるが刀は震えるだけで、紫音の掌に刃を食い込ませることが出来ない。


「…な、なんて力してやがる……。」


天人はタラリと汗を流しながら紫音を見る。


その眼は思わず見とれてしまいそうになるほど透き通っていて、天人は刀の力を一瞬だけ弱めてしまった。


「グッ!!!」


気付けば自分の右胸に刺さっているのは紫音の左手。


『それに、こんな切れ味の悪ィ刀じゃ、……いや、やっぱいーや。』


ズボッと音をたて抜かれた手には何か臓器が握られている。


「そ、りゃ俺の…心ぞ………」



天人が尽きたのを見届けると、紫音は手中の臓器を握り潰した。









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