鏡花水月

□第六訓
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第七訓

「親の心 子知らず」





星海坊主との食事から約1ヶ月後の談話室。





「行くぜ!」

「気張っていこーぜ。」

『おう。』

「よっしゃー!」


お馴染みの談話室で電子音が鳴り響いた。



数分後、再び室内に電子音が鳴り響き四人はハイタッチを交わす。


「やっぱり紫音の戦力デカイわ。あんなに手こずってたのにあっちゅー間だもんな。」

「それな!ちょっとテクが違うぜ。俺も大剣でいこうかな。」

『世辞はよせよ、4人居たから倒せたんだ。あたし1人じゃどうにもならなかった、最高のギルドだぜ。』

「ちょ、お前…嬉しいこと言ってくれるじゃねーか。」


賑やかに笑い合う四人。


そんな彼等を冷めた目で見ている人物が一人。


「なァに茶番こいてんだ。」


声の主は阿伏兎。

談話室の入り口で呆れた顔をして立っている。



「ちゃ、茶番てなんスか副団長ォ!」


『とか言って、仲に入れて欲しいんじゃねーの?阿伏兎もモンハンしてるし。』


「え?そうなのか?」


「なんだよ、副団長それならそうと言ってくれればいいのに。」


「うっせェよ!!、あ…。」


阿伏兎は慌てて口に手をあてると、コホンと咳払いした。


「…オイ、紫音。ちょっと来い。」


『え?あたし?』


紫音は自分を指差す。

阿伏兎が軽く手招きしたので、ここでは出来ない話だと理解した紫音は三人に悪ィ、と言って立ち上がった。


「あーそれとお前ら、あの、その、なんだ、今度…狩りに行くときは俺も誘え。」


阿伏兎はぎこちなくそう言い残して休憩所からプイッと出ていく。


『ほらな?ったく素直じゃねーなー阿伏兎クンは。』


爆笑する三人を残し、紫音は阿伏兎の後を追った。


肩を並べて通路を歩く。


阿伏兎は左斜め下にあるほくそ笑んでいる紫音の顔を横目で見ると何とも言えない顔をする。


『笑えるな。』


「笑えねェよ。」


『なんで。ギルド入れてやるっつってんじゃねーか、探してたんだろ?』


「………………。」


阿伏兎は否定も肯定もせず、黙り混んだ。


紫音はセーブをし終えるとPSピーの電源を切ってポケットに入れた。


『てゆーか何の用?どこ行くんだ?』


「それは着いてからのお楽しみってやつだ。」









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