鏡花水月
□第七訓
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「それに紫音は最初の街に着いてから数日、別人のように機嫌が悪かった。色々考えたが、それが一番辻褄が合うんだ。とりあえず夢幻郷に関わった事があるのは確かだと…。」
周瑜は再び深いため息を吐いた。
ずっと黙っていた神威は、おもむろにポケットから携帯を取り出すと電話をかけ始めた。
「阿伏兎、すぐに戦艦に出立の準備をさせるんだ。あの街にある夢幻郷を貰いに行く。あれの臭いは独特だ。モノを確認しなくても充分な証拠になる。アホも乗り気だよ。」
神威の言うアホとは阿呆提督のことだ。
実は先ほど報告へ行った際、提督は“夢幻郷”と聞くと目の色を変え、即座に神威へ指示を下していた。
「その街を掌握せよ」と。
―――――…
周瑜が出て行き、着替えを済ませた神威は紫音の部屋へとやって来た。
「あり?」
だがインターホンを押しても返答はない。
そこに、ゲームを終えた李典、張苞、甘寧が通り掛かり、インターホンを連弾している神威を不思議そうな顔で見る。
「だ…団長?紫音か?」
「まだゲーム中?」
「いや、ちょっと前にエレベーターで降りてったぜ。」
「そういや、アイツ何かあったのか?ゲーム誘っても来ねェしよ。」
神威は「ふぅん」と意味深に呟くとエレベーターがある方向へと歩きだした。
「ちょ、団長。もうすぐ、あと10分で出発たぞ?!」
「阿伏兎に、俺と紫音は行かないって言っといて。」
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