星河一天

□第一訓
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深い深い闇の奥





ここは年中、雨が降るジメジメとした街





日陰でしか生きられない連中が集まる巣窟





「ま、待て!糞餓鬼ィィイイ!」



「そいつを!その餓鬼を誰か捕まえろ!!」





ハタから見れば汚いドブ川かもしれない


だが、ドブネズミには住みやすい場所だった





『…ハァッ、ハァッハァッ、ハァッ…』



大きく波打つ胸をおさえながら、物陰に隠れて追ってきた奴等が過ぎるのを待つ


雨降りなのに傘はなく、黒く汚れた手は、寒さからか恐怖からかカタカタと小刻みに震える






泥棒、物乞い、引ったくり



何でもした





今日を生きるために








今を生きるために








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