星河一天

□第三訓
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第三訓

「自称って便利な言葉」








うっすらと瞼を上げると目の前にあったのは、ギドギトに汚れたコンクリートだった。







次第に冷んやりとした温度が伝わってきて、自分が倒れていることが分かった。



起き上がると、そこは薄暗闇の中。




靄がかかったように頭がフワフワとしている。


額を抑えると熱い。

しかし触れている手は冷たい。



闇に目が慣れ、視界に入るものが増えてきた。


鉄格子。


何処かから上がる奇声も聞こえる。



記憶が蘇り、自分が撃たれた箇所を撫でた。


もう痛くないし、痺れもない。

それに傷跡も綺麗になくなっていた。


掌を開き、閉じ、開き、繰り返し正常に機能することを確認した後、大きな伸びをする。

そこに、ふわ〜〜〜っと長い欠伸も付く。





体のチカラを抜くと、またフワフワと浮いたような感覚が頭を襲う。


数回頭を振って、子供は立ち上がった。








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