星河一天

□第三訓
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聞けば遊庵は、荼吉尼と夜兎の間で人工的につくられた混合種らしい。

確かに荼吉尼のように頭に角が二本生えていてる。

しかし夜兎のように透き通るような白い体は痩せ細り、お世辞にも「強そう」とは言えないものだった。


「俺ァ、この馬鹿げた祭りのためにわざわざ造られた戦士だ。日の目を見ず、死ぬまでひたすら闘い続けるだけの侘しい人生さ。」






遊庵は、この闘技場きっての最強戦士だ。


デビュー戦から今まで何年間も負けたことは一度も無い。


いや、負けたことがないから今もこうして生きていると言った方が正しいかもしれない。





年齢は15歳。(自称)


見た目も口調も、そして強さも、その年齢に見合いそうなものはなにもない。





「あ、また歯抜けちまった。」



掌に乗せた歯をしばらく黙って眺めていたと思えば、ポイッと格子の外へそれを投げ捨てた。



「ククッ…」



小さく笑った遊庵はとても不気味に見えた。



「次の相手は辰羅数人らしいんだ。数人って何人だよ。なァ新人。俺、死ぬと思うか?」










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