星河一天

□第四訓
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第四訓

「百聞は一見に如かず」








妹・神楽を産んですぐに、母・江華は体を壊した。

その病状は重く、一日の大半をベッドの上で過ごすようになった。



そんな母の手助けをと、神威は自ら進んで家事や神楽の面倒を見るようになった。






そんなある日。


いつもと変わらず降り続ける雨の中で、神威は街の少年達をのしていた。

年端もいかない小さな背中にはにつかわない、赤ん坊の神楽をおんぶ紐で背負っている。




「うう、」


「二度とナメた口きくなよ、次はこんなじゃ済まさないからな。」


「何度でも言ってやらァ。」


「病原菌一家が、さっさとこの街から出ていきやが…!!」


「くらああああ!!てめーら何やってんだ!!!!」



そこへ鬼の形相で猛烈ダッシュをしてきたのは父・神晃だ。


「ヤベェェェ星海坊主だ逃げろォォ!!」


「父さん!」


その姿を見た神威の顔は一気に輝いた。

母が倒れてから長期の仕事に行くようになった父はなかなか家に帰ってこなくなった。


今だって、会ったのは三週間ぶりだ。



しかし、


「弱い者いじめするんじゃありません!」


神威から神楽を受けとった神晃は、息子に頭突きをお見舞いした。


その威力に神威は頭から胸まで地面にめり込んだ。









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