星河一天
□第五訓
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第五訓
「解放」
「旦那様、………如何致しましょうか。」
執務室にて。
黒服を着た部下の深刻な声に、天草はパイプを吹かしながら顔をしかめた。
テーブルに置かれた一枚の紙。
「いつ迄に返答せいと?」
「二週間後です。」
「……….権利書をやる訳にはいかん。儂は商談などせぬぞ!」
「………お、お言葉ですが、それならば武力行使も止むを得ないと申してきております。一師団投入と言っても過言ではありません。」
「……チィッ、目障りな奴らめ。我等が耕した畑を、汚泥に塗れた土足で踏み荒らす気かァッ!!」
怒りを露わにした天草はパイプを灰皿へ叩きつけた。
パイプは跳ね、ぽとりと床へ落ちた。
「……….…あと、もうひとつ。遊庵についてですが……」
先程とは別の黒服が控えめに口を開くと、天草はグラスのウイスキーを一気に飲み干した。
「遊庵の奴め、下手打ちをおって。……まぁよい、集客の後釜はもう出来ておる。次戦では薬はやるな。」
「承知致しました。」
「………遊庵は次いつ出せる。」
「ハッ、八日後には。」
「ならば八日後で計画しておけ。」
「………承知致しました。」
、