星河一天

□第六訓
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天草が牛耳っていたこの星の巨大薬物栽培場は、その莫大な規模故に銀河最大のシンジケート 宇宙海賊春雨に目を付けられていた。



銀河各地で需要のある転生郷や、裏社会で支持率の高い夢幻郷にWAC。

この薬物ビジネスに本格的に力を入れ始めた春雨は、何とか天草を支配下に置こうと手を尽くしたが、度重なる脅しにも天草が屈しなかった。


すると在ろう事か春雨は、闘至関どころかこの星全体を侵略し惑星ごと剥奪してしまった。



天草が没し、紫音たち戦士たちの所有権は強制的に春雨へと渡る。




他の捕虜らと共に巨大な戦艦へ乗せられた紫音は、小さな窓から見える宇宙を眺めていた。




遊庵が見たがっていた宇宙。


遊庵が行きたがっていた宇宙。





彼の死から、こんなにも早く実現できてしまうとは思ってもみなかった。


あまりの呆気なさに、紫音はとても虚しく感じていた。



こんなに簡単に見られるのなら、せめてあと二ヶ月、頑張れていたら……



また、こんな簡単なことさえ自分たちは自力で出来なかったかと思うと、無力さを思い知った。












「……知ってるか?人は死んだら星になるんだ。」





けれども瞬く星々に、彼の笑顔を見つけることは出来なかった。










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