星河一天
□第八訓
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第八訓
「家族」
「神威、また喧嘩しただろう。」
その日、俺が帰ると母さんは言った。
寝ていたと思ってたのに、
起こさないようにそ〜っと入ったのに、
あまりに突然言うもんだから、ドキッとして体は跳ねるし、声も思わず裏返ってしまう。
「し…してないよ!!」
「父親に似てきたね、…ウソが下手だ。そのままじゃハゲるよ、最近キてるらしいよ。」
「ハゲるかよ!!」
母さん、俺、
父さんのように強くなるために……….…
母さんと神楽を護るために………
でも、いくら手を出していないとはいえ、こんな傷作って帰ってちゃあ喧嘩しているようなもんか。
向こうから勝手にくるもんだから、どうしようもないと思っていたけれど。
やっぱり、もう、そろそろハッキリさせる必要がある。
母さんにこれ以上心配をかけるわけにはいかない。
病気になってからの母さんは、いつも微笑むようになった。
前までは、よく怒ったりしておっかなかったけれど。
あまりにも優しく微笑むから、怒られたりしていたのが懐かしく思う。
いつか母さんが元気になったら、また怒られたいなって思う。
変かもしれないけど、本当に本気でそう思うんだ。
「こっちにおいで。」
「いっ…いいよ!!」
「アラ、そこは似てない。あのハゲは甘える時は甘えるよ。」
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