星河一天

□第八訓
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「なんで……….…なんで……….…母さんを好きになったの。
父さんが母さんをあの星から連れ出さなければ、母さんはああならなかったの。父さんが母さんを……….…」



「その通りだ。」



神晃はハッキリと言った。

俯いていた神威はハッと顔を上げ父の後ろ姿を見た。






「…一人ぼっちであの星に生きていたアイツを放っておけなかった。
護ってやりたかった。だが、護られていたのは俺の方だったのさ。
俺はあの死の星では生きられない。だが、母ちゃんもまた死の星以外では生きられない。
だから母ちゃんは、俺に何も言わずに黙ってついてきたんだ。
一人で永劫の時を生き続けるより、誰かと共に生き死ぬ事を選んだ。
責めるなら、母ちゃんのそんな思いに気づけなかった俺を責めろ。だが、もし、あの時その事に気づいていたとしても、俺は……母ちゃんは、今と同じ道を選んだだろう。」














「それでも子供(おまえたち)に会えるのなら。」







最後に少しだけ振り返った父。




その顔に写っていたのは、悩み、後悔、悲しみ、苦しみ、そして深い深い慈愛……





だが、すぐに前を向き、行ってしまった。







ずっと追いかけていた背中が、遠ざかっていった。










あの男のように強くなれば家族を護れる。







そう思っていた。





だが、







母さんを苦しめていたのは、







誰でもない、








俺達家族だった。














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