星河一天
□第九訓
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第九訓
「灰色の空」
昨晩は珍しく雨が止んだが、やはり日が変わる頃にはまた降りだしていた。
今日の雨は、霧ような細かいもの。
紫音は阿伏兎の指示で、手が足りないと嘆いた元譲の補助として働いていた。
末端組織の構成員たちが師団の戦艦から積み荷を降ろす。
紫音はその数などを紙でチェックしていく係だ。
「あと残りどんくれェだ。」
湿気で蒸し暑い貨物室。
止まらない汗を拭いながら、元譲はゲンナリした表情で紫音に言った。
『えっと、27…かな。』
紙を見る紫音の額にも汗の粒が浮かぶ。
皆へ指示を飛ばす元譲。
貨物室内に山積みにされた木箱も、運び出される木箱も、その中身は全て薬物である。
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