皓月千里

□第一訓
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顎に手を当てた万斉は「フム。」と少し考えた後に口を開いた。



「あの日、其方と手を合わせた時、その獰猛さに驚かされた。其方の瞳に晋助は、主を陥れた仇敵として映っているのであろう。」



第七師団掃討作戦(仮)での神威の動向は、甘寧たちからある程度聞いていた。


神威をはじめ師団の面々が窮地に立たされていた時、その場にいることができなかった。

あの日の第四処刑場での紫音は、自分の不甲斐なさに対する憤りを、高杉への憎悪へ書き換えてぶつけることで自我を保とうとしていた。



しかしそれはとても醜いことで、自分で自分の傷をえぐるような行為だ。



神威は手荒ではあったが、暴走を止めてくれた。

紫音はそう感じていた。




「それでも神威殿に付き従うまっすぐな忠誠は、どこか我ら鬼兵隊が晋助に寄せるそれと通ずるところがあると感じた。
だから問うてみたくなったのだ。神威殿の何が其方をそうさせているのかを。」












第七師団の皆が神威を長と認め続ける理由。










自分が神威についていく理由。













『……あたしは、』










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