皓月千里

□第六訓
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第六訓

「光と影の将軍」






朗報がきた。






鬼兵隊から、待ちに待った招集があったのだ。



神威の命で第七師団は直ちに準備を完了させ母艦を出立した。





目指すは、いま内外問わず様々な欲望がうずめく惑星地球・江戸の街





高杉率いる奇兵隊は、一橋派と呼ばれる一橋喜々を筆頭に結成された派閥に属している。

現将軍・徳川茂々をその玉座から引き摺り下ろし、喜々という神輿を次期将軍へと担ぎ上げる。




宇宙空間を行く主艦では、全十隊の隊長副隊長が集められていた。


前に立つ阿伏兎はいつもの気怠げな瞳で皆を見渡す。


「いいか、今回獲る首は“トクガワ シゲシゲ”ってサムライの親玉だ。顔をよ〜く覚えとけ。」



配られた資料に、その“シゲシゲ”という髷を結った小綺麗なサムライの顔写真が載っている。


「お、本当にサムライだ。」

「変な頭してんな〜波平の逆バージョンみてェだ。」

「サムライの長だろ?もっとゴリラみたいな奴かと思ってたぜ。」

「もっとこう“ムサシ”っぽいの。」

「“ザトーイチ”みたいな盲目の、」



自分の理想の侍像を語る者、ケタケタ笑いながら顔写真に落書きをする者。

第七師団は今日も平和だ←










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