皓月千里

□第八訓
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通信に出たのは李典だ。


《副団長!ちょっとえらい事になってて、》

「分かってる。その後、どうだ。団長は?」

《それが、さっきのガキと森に入ったっきり全然帰ってこねェんすよ!タカスギも白髪のやつとずっと相打ち状態、》


一つ前の通信で阿伏兎は李典から、神威は神楽と、高杉は銀時とタイマンを張っていると報告を受けていた。


《こっちはこっちで忍に足止め食らってるうちにショーグン取り逃がしちまうし、副団長が前に言ってた天照院奈落っぽい奴らが湧いて出てきやがってもう何が何だか、って、あーーーー!!!団長いたーーー!!》


阿伏兎は騒がしい通信機を顔から離した。

聞こえてくる戦闘音の大きさから、李典がいる場所あたりに天導衆の旗艦が降りたに間違いない。


「鬼兵隊は?」

《さっきよりもかなり圧されてます!》

「奴らまだ動く戦艦(ふね)は持ってんのか?」

《ふね!?聞いてみます!》

「もしあるなら今すぐこの星を離脱しろと伝えろ。状況が芳しくない、お前らも今すぐ北側の岸壁まで来い。撤退だ。」

《ぇええ!?撤退!?り、了解!!》



通信を終えると、阿伏兎は肩に乗せていた番傘を腰のホルダーに挿した。

先ほどよりも増えた行脚僧の屍を見渡した後に空を見上げると、また新たな艦隊が現れた。

目を凝らしてみると、どうやらそれは天導衆のものでも元老院のものでも第七師団のものでもなく、茂々将軍(幕府)の配下にある治安組織の艦隊のようだ。


阿伏兎は鋭い目つきでそれらをひと睨みすると、修繕中の戦艦へと向かった。










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