皓月千里
□第七訓
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「あり?」
『船が…』
「ない。」
出発地点に戻ったが、師団の戦艦が姿を消していた。
『場所合ってんのか。』
「合ってる。見ろ、着陸痕が残ってる。」
紫音と李典が頭の上にクエスチョンマークを浮かべていると、神威はニッコリと笑った。
『連絡してみるか。』
「俺がするよ。」
『え、あぁ。』
紫音はポケットから携帯通信機を取り出し神威へ渡した。
「もしもーし。阿伏兎、今どこにいる。」
《だ…団長。》
《ふ…副団長なら今トイレだ。相当長丁場になりそうなんだが。》
「あっ、そう。3秒以内に戻ってこなかったら減給って言っといて。」
《よォ、団長。今済んだトコだ。ビックリする位キレが良かった。ふかないでもイケた。》
「人が船降りてる間にどこいっちゃったんだよ、全然見当たらないんだけど。」
《いやこっちも探してるんだが全然見当たらなくてな。》
「俺がいない間に面白いこととかやってないよね。」
《やってない、やってない。》
「シンスケと一緒に伊賀とかいってないよね。」
《いってない、いってない。そっちの人探しの方はどうなったんだ。》
「どこを捜しても船の残骸しか見つからないよ。やっぱり死んじゃったかな、アイツ。
ついでに避難艇の残骸も見つけた。この調子じゃ姫様もみーんな死んじゃったね。あーあ…勿体ない、折角面白そうな強敵(レアモノ)見つけたのに。
とにかく俺もそっちいくから居場所教えてよ。」
《いや怪我もしてるし、しばらくゆっくりした方がいいんじゃないかな。》
「いいよ、じゃあこっからいくから。」
神威はおもむろに通信機の画面をガンガン殴りはじめた。
《そっから来れるの!?》
「阿伏兎、俺抜きで面白そうな事やってたらどうなるか解ってるよね。」
《消せェェェ!モニターを早く消せェェ!!》
ピッ
「…切れちった。」
神威は故障した通信機を紫音へ放る。
李典は腰に手を当て口を曲げた。
「行き先は伊賀か。」
、