星河一天

□第一訓
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親なんていう都合のいい者はいない






物心ついた時には既にここに居た





たった一人で






いつ産まれたのか




誰が産んだのか




どうやってこの年まで生きてきたのか




なぜ生きてこれたのか





なにひとつ分からない







逃げ回る日々


自然とすばしっこさや、悪知恵が身に付いた



まだ幼い子供は継ぎ接ぎの布を身に纏っていて、ブロンドの髪は短く、靴も履いていない


寝床にしていた空き家も先程バレてしまい命からがら逃げてきた



『…ふぅ。』



少し顔を出し、念入りに周りを確認しながら物陰から出る


薄暗い路地裏には雨の音だけが響いている


ふいに自分の腹に手をあてる



ぐぅ…と微かに鳴った腹を摩りながら、子供はトボトボと歩きながら市場がある方向へと向かった







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