星河一天
□第一訓
2ページ/5ページ
親なんていう都合のいい者はいない
物心ついた時には既にここに居た
たった一人で
いつ産まれたのか
誰が産んだのか
どうやってこの年まで生きてきたのか
なぜ生きてこれたのか
なにひとつ分からない
逃げ回る日々
自然とすばしっこさや、悪知恵が身に付いた
まだ幼い子供は継ぎ接ぎの布を身に纏っていて、ブロンドの髪は短く、靴も履いていない
寝床にしていた空き家も先程バレてしまい命からがら逃げてきた
『…ふぅ。』
少し顔を出し、念入りに周りを確認しながら物陰から出る
薄暗い路地裏には雨の音だけが響いている
ふいに自分の腹に手をあてる
ぐぅ…と微かに鳴った腹を摩りながら、子供はトボトボと歩きながら市場がある方向へと向かった
、