星河一天
□第三訓
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鉄格子に触れてみる。
硬く頑丈な鉄。
体は通れないが、頭くらいは出せそうだ。
そこから顔を覗かせれば、薄暗い通路があった。
等間隔にならぶ照明は電球が切れかかっているのか、パチパチとリズム感よく瞬いている。
そして、ふと気付く。
雨が降っていない。
雨音もしない。
ただ奇声が響くだけの薄暗い空間に、子供は不思議そうに天井を眺めた。
するとバタンと音がした後に、カツンカツンといくつかの足音がし始めた。
それは徐々にこちらへ近付いてくる。
「うわッ!!ビックリした。」
「……もう目を覚ましやがった。」
「大概の生物なら死に至る量の麻酔薬だが…こりゃ本物のバケモンだな。」
子供がひょっこりと出している顔を見た男達は、少し冷や汗を額に浮かべながら言った。
暗闇に光る2つの琥珀色は、怪しく不気味だ。
「こっちを見るな、気色悪ィ…」
1人の男が、ガンッと鉄格子を蹴った。
しかし子供は目を逸らさない。
ぞくっ…と悪寒がした男の一人が懐から拳銃を取り出そうとする。
しかしもう片方の男はそれを止め「もう行こう」と促した。
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