星河一天

□第八訓
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上衣を脱いだ神威はベッドに腰を掛け、江華に背を向けた。


その小さな背中にある痣や傷を優しく撫でると、江華は丁寧に丁寧に傷パッドを貼っていく。








神威は、久々に母に甘えることに何だかむず痒い照れ臭い不思議な気持ちだった。






「……….………….…。」



「いいなー!神楽も〜〜神楽も〜〜!」


「今日はお兄ちゃんの番。」










「まったく、バカな所ばかりあの人に似ちゃって。」



江華は独り言のように呟くと、神威の小さな背中にそっと自身の額を当てた。




「……….…!」



「ごめんね。
こんな小さい背中に色々背負わせてしまって。
でももう無理はしないで、神威(アナタ)は神威(アナタ)のままでいいのよ。」






胸の痛い所を刺されたような感覚に、神威は一気に現実へ引き戻された。








憧れる父の言葉と、愛おしい母の言葉。





神威は、「強さ」というものが余計に解らなくなった。









難しい顔で考え事をする神威を見て、江華は眉を下げた。


そして、神威と神楽を抱き締めた。




「あの星を離れた時からこうなる事は覚悟していた。それでもあの人と一緒になったのは、あの人の隣にいたかったから、生まれてくる家族(あなたたち)の隣にいたかったから。
だから神威、あなた達はそのままでいて。」




自分が病に伏せていることで、我が子に様々な苦労を背負わせてしまっている。


「夜兎」というだけで、ただでさえ周りから腫れ物扱いされるというのに。

本来ならば自分が護ってやらねばならない、この小さくか弱い存在に護られてしまっている。




江華は胸が張り裂けそうになり、鼻の奥から込み上げる感情をグッと押し殺す。



この子達が必死にたえているというのに、私が泣くわけにはいかない。



こんな感情をも思い出させてくれる。



この子達と私はずっと一緒にいたい。



この子達と私は共に生きたい。






「心配しなくてもいいヨ、マミー。神楽が、神威がずーっとマミーの側にいるから。ね、神威?」



「……….…う、…うん。」




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