星河一天

□第十四訓
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むしゃむしゃと卓上の料理を口へかき込んでいると、ポケットのスマホがピロピロと音を立て始めた。



画面を確認すると、電話帳には登録されていない番号。



そんな相手はひとりしかいない。



烙陽で星海坊主に電話番号を知られてから、数ヶ月に一度こうして連絡がくるようになった。

その内容は危惧してよりもずっと平凡なもので、毎回息子の様子を気に掛けたものばかりだった。



紫音は画面を数秒見つめた後、着信に応えることなくスマホをポケットへ戻した。



すると阿伏兎は箸を止める。


「...........紫音、お前。“変なモン”と連んだりしてねーだろうな?」


『あ?』


「人生は重要な選択肢の連続だ。後悔しねぇようにベストな選択肢を選ぶことがいかに大切かってこないだ言ったろう。」


『何が言いてェんだよ。』


「“付き合うお友達はちゃんと選べ”っつってんだ。休みの度にフラフラ出歩くのは構わねーが、甘いことばっか考えてっと一瞬で足元を掬われるぞ。」


『.......そんなんじゃねーよ。』





心配ご無用。

足元なら、とっくに掬われている。




紫音は阿伏兎の詮索するような瞳から逃れるように骨つき肉にかぶりついた。









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