皓月千里

□第ニ訓
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『お、おわった…』



帰路に入った戦艦内で、紫音は深い溜息を吐くと椅子へ崩れた。


元譲は労うようにその肩をバンバンと叩いた。


「ま、上出来じゃねェの。里では少し暴れすぎたかも知れねェが、予定していた通りに事は済んだ。」


『本当にそう思う?大丈夫だった?夢じゃない?地獄じゃない?ココ。』


「なんだよ、そんなに心配していたのか?らしくねェの。」


周瑜は項垂れる紫音に温かいコーヒーを差し出した。


『どーせお前にゃ分かりゃしねェよ、阿伏兎がマジ怒りした時の怖さがよ。阿修羅以上だぞ、ありゃあ。』


「昔はしょっちゅう頭にコブ乗せてたもんなァ。」


『...昔の話はすんなよ。』


元譲は懐かしみながらダハハと声を上げる。

紫音は苦い顔をして元譲を睨みつけた。



「お前が事前にタカスギんとこで忍術への対抗策を念入りに練っていたから、師団の奴らは初の忍相手でも楽に動けたと言っていた。
副団長に言われてた損失も最小限に抑えられたし、ケツの穴だって嫌でも締まったろ?
この仕事に参加している奴らはもう大丈夫だ、本部で待機してる疑心を抱いている奴らだって今回の功績を見れば態度を改めるはずだ。」


周瑜が言うと、元譲はフッと鼻を鳴らした。


「部下に励まされてちゃあなァ、紫音よォ。」


『…阿伏兎に任務完遂の連絡してくらァ。』


紫音は立ち上がると、周瑜に肩パンをして「サンキュ」と呟いた。









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