皓月千里
□第四訓
7ページ/8ページ
リテソ「もう紫音はアテにならん、自分でなんとかするしかねェ!!」
リテソは屍になった長老でズガガガガと地面を漕ぎながら洞窟へと入っていく。
ちんかす 棺桶「お前長老どんな使い方してんの!?」
リテソ「うおおおお!!!」
花野アナ《勇者リテソ。長老の屍をオールのように扱い、ついに盗賊の洞窟へと乗り込んだ!!
あっ…あれはセーブポイントと回復の泉です!
ボス戦を前にゲームが用意してくれた新設設定!!》
洞窟内にある小さな泉。
キラキラと光る水面は、生命の美しさのような輝きを放っている。
【リテソの身体から毒が消えさった
ちんかすは息を吹き返した】
《やりました!!ここへきてようやく二人とも完全復活を果たしました!》
リテソ「約束は果たしましたよ、悪いがこっからは敵同士っス。せいぜい足の小指に気をつけてくださいね、ちんかす副団長。」
立ち去ろうとした李典の肩を、人間の姿形に戻った阿伏兎がガッと掴む。
ちんかす「待ちやがれ、長老をこっちに渡せ。」
リテソ「あん?何言ってんスか。」
ちんかす「これ以上長老を苦しめるんじゃねェ、もう充分利用したはずだ。」
屍となった長老の足を李典が、頭部を阿伏兎が持ち、二人はゴタゴタと揉め出した。
リテソ「なんスか、副団長。誰のおかげでここまで来れたと思ってんスか、長老様のおかげでしょ。」
ちんかす「だから言ってんだ、これ以上死者を冒涜するんじゃねェ。」
リテソ「長老は死んでねーっスよ、俺の心の中で生き続けてますよ。」
花野アナ《おおーっと、ボスを前にして長老をめぐって争いが…》
リテソ「今さら長老と別れろっていうんスか、俺はもう長老なしじゃいきてられねーッスよ、長老じゃなきゃダメなんだ。」
ちんかす「長老は街へ帰すべきだ、冒険者達には長老が必要だろうが。」
リテソ「長老はこれから盗賊を倒した伝説のブーメランとして、冒険者達の間で永遠に語り継がれていくんスよ。」
ダラダラグダグダしているうちに、洞窟の中から複数の影が接近してきた。
ザッ【盗賊団があらわれた】
花野アナ《ああーっと、モメている間にボス戦が始まってしまいました!!》
ちんかす「よこせ!」
リテソ「離してください!!」
長老の亡骸を綱引きのように取り合っていると、待った無しの盗賊団が二人へと駆け出した。
《しかし、こちらはまだ長老を取り合っています!ああーーーあぶない!!》
リテソ「もうわかりました、わかりましたよ。んじゃあ平等に二つにわけましょう。」
ちんかす「オイ、ちゃんと均等になるように真ん中で折れよ。」
ボキッ
まるでポッキーのように、腹部で真っ二つに長老が折れる。
花野アナ《ああああああ!折ったァァァァァ!!長老折ったァァァァ!!何してんですかっあんたらァァァ!!長老ォォォォォォ!!》
リテソ「うおおおおお!!!」
【リテソかいしんの一撃
盗賊団に428のダメージをあたえた
ちんかすかいしんの一撃
盗賊団に432のダメージをあたえた】
外道極まりないが、李典が下半身を、阿伏兎が上半身を使い、盗賊団を滅多打ちにしていく。
ちんかす「オイ!なんかコレ上半身使いづれーな、やっぱそっちとかえろ!」
花野アナ《死者の冒涜云々言ってたのは誰!?アンタ長老が欲しかっただけでしょーが!!》
リテソ「ぬおおおお!!頭(かしら)はどこだァァ!」
花野アナ《長老のおかげで盗賊団が次々とたおされています!決着の時は来たァァ!!盗賊団首領の首をとるのはどち………》
、