皓月千里

□第六訓
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『サムライか…』



紫音は、以前吉原で見たあの銀髪のサムライのことを思い出していた。





何度打ちのめされても消えない瞳の光。


誰もが諦めるであろう窮地でも、再び立ち上がり最後にはあの夜王を倒してしまった。



タカスギは、奴の知り合いだと聞いた。

あの掴み所のない男も、銀髪のサムライのように内なる炎を秘めているのか。




「どうかしたのか?」


思考を遮ってきたのは、隣に座る周瑜だ。

紫音は真面目な顔を向ける。



『…厄介な奴らだ、舐めてかかると命(タマ)取られるからな。』

「そんなに強いのか?全然そんな風には見えねェけど。」



シゲシゲの顔を見ながら周瑜は顎に触れる。



『周瑜、人は見かけで判断しちゃいけねェ。現に、前に見たあるサムライが“団長のお気に入り”になってる。』


「マジかよ。」



“団長のお気に入り”と聞いて、周瑜の表情が変わる。

地球には神威が興味を持つほどの人物がタカスギ以外にもいるのかと想像すると、少しだけ口角が上がる。



「やっぱり吉原査定、意地でもついていくんだったなァ。」


『まだ根に持ってんのか。長生きしねェぞ、お前。』



ふと前方に目をやれば、椅子に踏ん反り返ったまま寝腐っている神威。



あの妹とも、もしかすると会う機会があるかもしれない。



神威と同じ髪の色をした、同じ瞳の色をしたあの少女が思い浮かぶ。









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