皓月千里
□第六訓
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「喜々様ァァァ!!!」
「道をあけい!!襲撃だァァァ!!喜々様が賊に襲撃を…!!」
「一体何者が!?」
「とっ、とにかく早く医者に!!」
「こっ、この方はいずれこの国を治むるお方…この国最後に希望だ!!」
「絶対に死なせてはならぬっ!!」
歯が抜け落ち、顔面をパンパンに腫らしたまま気絶している喜々。
混乱する家臣たちに囲まれながら、門の前で待機している救急車へ救急隊員によってタンカーで運ばれていく。
「…なる程、一橋喜々。あれがこの国盗りゲームのアンタの駒だったワケだ。
あんな弱っちい駒、役に立つの?俺なら他の能力はおいといて武力100の駒を使うけどね。」
先ほどの天守から慌ただしい城下を見下ろす神威。
その後ろで襖にもたれキセルを咥える高杉は、フゥーと細長い煙を吐いた。
「見た通りだ。人がここまで祀りあげてやったのに、将軍の座ほしさに勝手に殿中で凶行に走るようなうつけだ。最後の一手は差し誤れば、敵の首級(しるし)ではなく己の首が落ちる悪手に変わるのをあの坊はしらねェ。
まあ、ここめでかついだ神輿だ。たとえ首一つになっても利用させてもらうがな。将軍暗殺の嫌疑を一橋派にかけていた中央の目もこれで逸らせる。一橋公も将軍と同じく何者かに命を狙われた被害者ってワケだ。少々派手に暴れようが疑われる事もねェ。将軍(おうて)をとるのも、国(ごばん)ひっくり返すのも自由だ。」
神威の口角がキュッと上がる。
「ふふん、武力100の駒の出番だね。」
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