皓月千里
□第七訓
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神威が砲台から消え、阿伏兎は李典と「やれやれ。」と肩を落とした。
しばらく神威の動向を眺めていたが、一際大きな爆発があったかと思うと、それに巻き込まれた神威が吹き飛ばされたのを確認する。
「アララ、...行くぞ。」
阿伏兎は二番隊に目配せをすると、神威がいる船へと飛び移った。
「お〜?そろそろ終わりか?」
「俺らの出番なかったじゃん。」
「あれ?副団長は?」
「李典とショーグンの船に行った。」
大きな爆音に、「終焉を迎えた」と艦内で待機していた師団員がぞろぞろと甲板へ集まってくる。
「なに?そんなに苦戦してんのか、シノビの奴ら。」
「いやぁ、それが団長が先に降りちまって...」
『オイオイ、もうちょい船離さねェと燃え移っちまうぞ。』
周瑜と少し遅れて出てきた紫音は、燃え盛る隣の船を指差した。
「それが団長があっちに行っちまったみてェなんだよ、それを副団長たちが追って...」
『ぁあ?』
「ほら見ろあそこ!」
「どこだよ!?」
黒い煙がいくつも上がり、今にも墜落しそうな船の甲板に、二番隊の面々が確認できる。
しかし肝心の神威や阿伏兎は、爆炎が邪魔で姿が見えない。
紫音たち野次馬が様子を伺っていると、その船の上部に一人の男が現れた。
その男は、切り落とした人間の首を掲げていた。
「あれは........?」
周瑜たちの視線は一斉にその男に集まる。
紫音も同じく、鋭い眼でその男を見る。
『あれだな、....服部家当主。』
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