誰 愛

□第一話
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よくよく思い出すと、今日の臨也は何かおかしかった。



今朝登校して来たときだってそうだ。



臨也は静雄に会ったのにいつもの嫌味も言わず、逃げるように去って行った。



しかも、今日は昼休みまでは一度も喧嘩に巻き込まれずにいた。



「珍しく静かな日だ」と思っていた矢先…



昼休みになったら突然2年生に呼び出されて、取りあえずさくっと始末して教室に戻ろうとしていたら――



今度はこいつらが絡んできた。





(ああ、クソっ!!なんで静かに過ごさせてくれねえんだ!!)





「今度会ったら速攻で殺してやる…!!」

「はあ?殺すだと?いい度胸してんじゃねぇか、テメェ!」





どうやら、先程の静雄の言葉が自分たちに向けられたものだと勘違いしたらしい。



青年達は持っている武器を強く握り締める。





「ぶっ殺しちまえ!!」





青年たちは知らなかったのだろう。



今、自分たちの目の前でたった1人で立っている男が、どれ程恐ろしい存在なのかを…



「相手は1人で素手だ。数で攻めればいい」とでも、青年達は思ってたのだろう。




平和島静雄の事を詳しく知らないがために、青年達は油断していたのだ。


もし、今この場に
静雄の“異形の力”について知っている者がいれば…



この時点で何が起きるのかを想像出来たかも知れない…



“平和島静雄”は…



“常識を超えた存在”だという事を…



青年たちは身を持って体験することになる。





「…おい、お前ら」

「あ?」

「どうしてもやるってのか?」

「何だよ、今更怖じ気づいたのか?俺達に喧嘩売っといて…平和島静雄ってのも、大したことねえな!」

「…俺はお前等に喧嘩なんか売ってねぇ。それに…暴力は嫌いなんだ」





いちいち気に障る言い方をする青年達にイラつきながらも、静雄なりに力を使わずに事を治めようとするが…





「はあっ!?
…何訳分かんねえこと言ってんだよ!」



青年は言うと同時に持っていた鉄パイプで静雄の頭を殴った。



ガンンン…!!
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