DRRR

□黒髪の彼女と
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「わぁ、人いっぱい!」
艶のある黒髪を揺らして、少女は言った。少女の名前は紀田優美。新宿に住む、大学2年生である。
そんな彼女が池袋に来ている理由はとても簡単で、幼馴染みであり、尊敬であり、先輩である不知火楓に会いに来たのである。最近、楓は「ヘイワジマシズオ」という男性と付き合い出したらしく、彼氏無し歴0な優美にとっては、羨ましい環境である。
また、もうひとつの理由は弟である正臣の様子を見に来たのである。
まずは、自分の弟を見に行こうとしたとき。


ブンッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

目の前を赤い、大きい箱が飛んでいく。

「え?」

箱が飛んでいった方を見ると、

赤い箱は自販機で
黒い男の人がそれを避けていた。


ちょっと待って。

何が起きている?

自販機が飛ぶ?

何かの間違いですよね?

これ、現実?


暫くして優美は池袋に来たことを酷く後悔した。

とりあえず、あの黒い男、今ので怪我してたら………。

優美は楓と正臣に「黒い男の人が心配だから時間かかります」とだけメールを送信して、駆け出した。

「だ、大丈夫ですか!?」

黒い男の人は、怪我ひとつ、かすり傷ひとつなかった。

「君、紀田君のお姉さんだよね?俺よりも君、自分の心配したら?俺といたら君まで死ぬよ?」

すると、風を切る音がして、『ガードレール』、が飛んできた。

目の前まで、来てる。

男の人はもういなかった。

(あたし、死ぬのかな)

ふと、そう思った。

視界にガードレールが入り、反射的に目をつむった。

ガードレールが、あたしの脳天に直撃……するはずだった。


「痛く、ない…??当たっても…ぇ?」

あたしの目の前に橙があった。

「優美!!大丈夫?!」
「楓!?」

ガードレールはあたしの頭上で止まってる。
正しくは、楓がガードレールを受け止めてる。

「『静雄』!折原ならともかく、部外者に手出すなんて許さないからね!!」

楓が声をかけた方面、ガードレールが飛んできた方面に目をやると、金髪のバーテンがいた。

「悪い…」
「優美はあたしの幼馴染みなの!攻撃禁止!」
「ゃ、不可抗力…」
「煩い」

楓はあたしを立たせて、腕の傷を見ると、家に連れていった。

「静雄、救急箱。」
「ん、」

手際良くあたしの傷を手当する楓に、あたしは気になっていた事を聞いた。

「ねぇ、自販機飛んできたんだけど、池袋…どうなってるの?」
「ごめん、自販機投げたのも、ガードレール投げたのも静雄なの。子供の頃から弟を守ってたらにいつの間にか怪力になったらしいの。攻撃したのは優美が見た黒パーカの折原臨也。情報屋なんだけど、なんか言われなかった?」
「そういえば、あたしはあの人知らないのにあたしが正臣の姉だって知ってた!」
「……後の話は正臣君に聞いて。あたしが言えるのはこれだけ。多分色んな厄介なことに巻き込まれるかもだけど頑張って!!あたし送るから、メールしといて」
「あ、うん」

そうか、この人が楓の彼氏…静雄、さん。自販機とかガードレール投げるって何者なの?……まぁ、正臣に聞くか。

あたしは楓宅をおいとました。
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