DRRR
□わーお。さすが池袋
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side:U
今日も池袋の空は青い。私はそれだけで嬉しくなる。
「臨也に会える気がする!」
私はくるくる回りながら歩く。くるくるくるくる……。あ、目が回ってきた。
「そういえば、帝人兄なにやってるんだろー。今頃、杏里さんと紫姉と一緒にいるのかなぁ、うふふ、両手に花!」
私は臨也がいると思うところへ向かった。
side:C
「みかどー、優美から連絡ないの?」
「え」
「優美ちゃんって竜ヶ峰くんの妹さんですよね?」
「そうそう!ちっこい子!」
両親が嫌いで毎日脱走兵のように家出する優美の話を彼氏である帝人にふる。彼は優しいから、優美のこと嫌いになることもないし、よく思ってる。
「最近、優美と連絡とってないなぁ」
……とうとう優美は実の兄貴まで嫌いになったか。いや……楓さんと遊ぶのに夢中で帝人を忘れてるのかも。それか、臨也さんの元にいるか……。
「って、あれ?」
「どうしたのさ、帝人」
「……あれ、優美ちゃんじゃ……?」
「うん」
「うわ、マジだ。くるくる回ってるねぇ。浮かれてるねぇ」
あたしたちは優美を追いかけた。
Side:K&S
「静雄のアホ−!なんで起こしてくれなかった訳!?」
「今日仕事休みなんだろ。ぐっすり寝てたから起こすのも…と」
「休みは静雄と朝ごはん食べるのが主流なの!!だってもう昼だよ!?もう昼ご飯でしょ!?!?あたし泣く……」
「朝は食べてねぇ」
「は?」
「楓がそう言うと思って」
「このアホォォォ!!!!!そんなことしたら死ぬだろ!!!今から外行ってご飯食べよう!!さ、靴履く!外出る!」
「はいはい」
2人は池袋の街に足を運んだ。
「臨也じゃない?あれ」
100m先程に嫌という程見慣れた黒いジャケットを着込んだ男が歩いていた。
「……楓、」
静雄が後ろを振り返りながら指差す方向を見るとこれまた見慣れた顔がくるくると回りながらこちらへ向かってくる。
「紫達は尾行かな〜?お痛が過ぎてるぞ〜……静雄、自販機Please」
「ん」
「んじゃ逢河楓、一投目いっきまーす☆」
Side:I
風向きが変わる。
勘で身体を横に背けると真隣に大破した自販機が落下してきた。
「逢河さん?俺になんの恨みが?」
「優美を近づけさせない為??」
「へぇ。まぁ『皆』揃ってるみたいだしね。静ちゃんがいるから皆にも怪我させるんじゃない?」
「減らず口叩くなよ臨也」
「どうかな、逢河さん」
静かに、情報屋と雌獅子が睨み合う。
Side:U
「臨也さんみーつけた……って楓さん?!」
「あ、優美…来ちゃったか」
「じゃあ帰るぞ」
静雄は身を翻して東池袋へ向かおうとしている。
「あ!ちょっと待って……って優美、紫とかついて来てるから頑張ってね!!じゃ!(´・ω・`)¬キリッ」
待ってよ−!!!!と静雄を追いかける楓を見送りながら優美は内心驚いていた。
「紫姉達…来てたんだ……」
Side:C
「帝人、楓さんと静雄さん、あたしらに完全気づいてるよ!!」
「……そうだろうね……」
紫は走っていた足を緩め、前方の様子を伺う。
「ちょっと帝人!様子少し見てきてよ」
「ぇぇ!?」
中略
「…優美に…ばれた…」
「別に気にしてないみたいだから大丈夫だよ…」
「帝人には解らない…絶対解らない…」
「とりあえず、見失う前に追いかけようよ」
「……そうする」
そしてまた紫達は第二の尾行を開始した。
side:C
「優美と臨也さん、手を繋いでるよ………ガクッ」
「紫って、なんか実の兄の僕より優美に過保護だよね?」
「だって、優美はロマンの塊じゃん!(中略)だからね、優美を尾行したりするの……あ、臨也さんが優美にクレープ、しかもブルーベリークリームのアイス入り!」
「紫ちゃん、その視力を他に使えませんか……?」
「無理!」
「園原さん、紫に何言っても無駄だよ…」
帝人が何か言ってるけど無視する。
あぁ、優美の身長から見てると臨也さんと優美って恋人に見えないんだよねー。どう見ても親子or兄弟だね。
てか、順調そうじゃん。
「つまんない」
「つまらないなら、尾行しなければいいのに」
「楓さんに愚痴ってくる!」
あたしは来た道を戻っていった。もちろん、後ろからは待ってよー、って声が付いてきていた。