main(銀魂)
□最期まで(土沖/切甘)
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「おはよう、総悟」
「あ…、土方さん。おはようございやす…」
声をかければ振り向いて、目礼して避けるように早足で去っていく総悟。
確か、池田屋の時からだっただろうか。
総悟が俺に突っ掛かってこなくなったのは。
彼奴が嫌がらせをしてこないというだけで清々する。
清々する…筈なのだが…
「くそ…何なんだ…」
何か、心の中にわだかまった感情。
髪の毛をぐしゃっとかき上げ、煙草に火をつける。
1日に吸う煙草の量は、総悟が嫌がらせをしないようになってから増えるばかりだ。
挙げ句の果てには隊員にまで心配される始末。
嗚呼、こんなとき、前までなら…
「土方さん、あんま煙草吸ってるとぶっ倒れやすぜ」
ひょいっと手から煙草を取り上げられる。
「そう…前までならこんな風に…って、総悟!?」
「ええ、俺ですが…。どうかしましたかィ?もしかして土方さん、目までいかれやした?」
「いかれてねぇよ!つーか『まで』ってどういうこった、『まで』って!!」
ククッと楽しげに笑い、取り上げた煙草を揉み消しながらいつものように一言。
「そのまんまの意味でさァ」
そしてひらひらと手を振りながら去っていく。
「じゃ、とっとと死んで俺に副長の座を譲って下せェ」
その言葉も忘れずに。
その後総悟が歩きながら咳き込んでいた事にも気付かず、俺は心が満たされていくのを感じていた。