main(銀魂)

□最後まで(土沖/切甘)
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「おはよう、総悟。」

「あ…、おはようごぜェやす…」

素っ気ない態度をとりながら、目礼して土方さんの横を通り抜ける。

悟られる訳には、いかないから…



それは、池田屋に討ち入った時の話。

俺は周りの奴等とは全くと言っていい程違う行動をとっていた。

後ろから土方さんの怒鳴り声が聞こえるが、気にしない。

目の前の敵を斬る事に専念する。

少しでも多くの手柄をあげるため…

真選組の…近藤さんの…土方さんのために…

池田屋の討ち入りは、大成功で終わった…が、俺にとっては最悪の事態が起こることになる。

後片付けをするザキについていっていると、いきなり自分の身体に異変を感じた。

「ゲホッゴホッ」

咳が…止まらない。

「大丈夫ですか、沖田さん!?」

「ゲホッ…ガハッ」

床に飛び散った血…それが自分のものだと理解するのに数秒かかった。

「お…沖田さん!!」

「……近藤さんや土方さんには…いや、誰にも言うんじゃねェ…」

どうにか絞り出した言葉は、それだった。



ふと、ある会話が聞こえた。

「副長、あんなに煙草吸って大丈夫なのか…?」

「あぁ…最近量多いよな。」

考えるより先に、身体が動いた。

土方さんの手から煙草を取り上げれば、いつものように言う。

「土方さん、あんま煙草吸ってるとぶっ倒れやすぜ。」

「そう…前までならこんな風に…って、総悟!?」

「ええ、俺ですが…。どうかしましたかィ?もしかして土方さん、目までいかれやした?」

「いかれてねぇよ!つーか『まで』ってどういうこった、『まで』って!!」

ククッと楽しげに笑い、取り上げた煙草を揉み消しながらいつものように。

「そのまんまの意味でさァ」

そしてひらひらと手を振り、既に口癖のようになっているその一言を言う。

「じゃ、とっとと死んで俺に副長の座を譲って下せェ」

俺は…普段通り話せただろうか…

土方さんに背を向け、咳き込みながら歩きつつ少しだけ、不安に思っていた。
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