main(薄桜鬼)
□可愛い悪戯(土沖)
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「総司ーっ!!!」
屯所に響き渡る怒鳴り声。
隊士達は慣れたもので、
何事も無かったかのように動作を続ける者、
「またか」と苦笑する者、
「今度は何したんだ?」等と言っている者…様々だ。
「てめぇ…俺の硯どこやりやがった!!」
「知りませんよ。
無くしたんなら買ってきたら?土方さん。」
全く…と、呆れたように言い返す沖田だが、
硯を隠したのは紛れもなく彼である。
「ほら、買ってきたらどうです?
何なら僕も付いてってあげますけど?」
良い気分転換になりますよーと、
正に鬼の形相の土方等気にも止めずに、
相変わらず考えの読めない笑みを浮かべている。
「…ったく、買いに行くぞ。とっとと来い。」
「はぁい。」
土方は、機嫌良さげに返事をした沖田の頭をぐしゃっと撫で、
小さく“出掛けたいならそう言えば良いだろうが”と囁いた。
沖田は軽く舌打ちし、ばつが悪そうにそっぽを向き、
「早く出掛けましょ。」
と、微かに頬を染めて。
―知ってるんだ本当は
お前の悪戯は、全部俺への愛だって