main(銀魂)
□最期まで(土沖/切甘)
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煙草の一件から、馬鹿みたいにわだかまりが消えたのが分かった。
だが、それ以来総悟はまた俺を避けるようになった。
そしてまた、逆戻り。
鬱々とした胸の奥。
増え続ける、煙草の吸殻。
捨てた先からまた灰皿がいっぱいになっていく。
紫煙を吐き出し、苛々とした動作で目を通していた書類を机に置く。
「総悟……」
知らず知らずのうちに呟く、名前。
と、その時
「呼びましたかィ?」
唐突に開く襖。
近付いてきたのは栗色の髪に、赤い瞳をした少年。
「な…っ、総悟、何で…」
「いーや、体調が優れないんで、今日の巡回をザキに代わってもらおうと思いやして」
よく見ると、確かに顔色が悪いようだ。
それに飄々とした態度で誤魔化してはいるが、息が少し苦しそうに見える。
「あぁ、分かった。それで…、体調は大丈夫なのか?」
「えぇ、ただの風邪でさァ。少し寝れば治りやすぜ。どこぞの副長さんみてェに柔じゃねェんでィ」
例の、悪戯っ子のような笑顔を浮かべて憎まれ口を叩くと、いきなり咳き込みだした。
急いで背中を擦ってやれば、総悟は微かに申し訳なさそうな表情をした。
咳が止まったところを見計らって問いかける。
「…大丈夫か?」
「えぇ…すいやせん…。じゃあ、巡回の交代、頼みやしたぜ…」
青い顔をしてそう言いながらフラフラと去っていくその後ろ姿を見送りながら、俺は言い知れない不安を感じていた。